KY(空気が読めない)という言葉に示されたゆとりのなさ

06/17/10

“Everybody thinks so”

(Dear English readers of my blog – this post is about an expression in Japanese language that is directed to people with less social skills. This post is in Japanese only)

古荘先生の著書「日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか」の中に、上記タイトルの箇所があります。全体で2ページにも満たない部分ですが、この本の中で非常に大切な部分だと感じました。

kids私はアメリカに8年暮らしており、アメリカで子育てもしています。サンディエゴの補習学校で4年間働いており、毎年たくさんのお子さんが日本から駐在など家族の転勤でやってきて、またアメリカで数年生活した後で日本に帰っていきます。日本からアメリカに来ることも大きな変化ですが、アメリカの生活に慣れた子供達が日本に帰ることも、同様に、あるいはそれ以上に大きな変化です。中には、日本人の両親を持ちながらもアメリカで生まれ育っていたり、また国際結婚のご家庭で日本に行くことになるケースもあり、日本は「外国」という人もいます。

おそらく日本に帰って学校に通う際、最も苦労するのはこの「KY(空気が読めない)」という言葉に表れる発想ではないでしょうか。古荘先生はこう書いています。「本音を出したり、あるいは融通が利かないと、『KY』のレッテルを貼られてしまう。無視、仲間はずれといういじめの対象になってしまうこともある。子どもたちの中でも疑心暗鬼になり、常に周囲の機嫌を伺うことを余儀なくされる」また、「『KY』は『空気』という言葉で、自分だけではなく多数の意見だと表現して、より強力かつ巧みに一人を追い込んでいく、実に不気味で悪質な表現である」と。

大人として人付きあいを上手くやっていくためには、自分の思ったことを何でも口にするべきではなく、周囲の気持ちを考えることもできなければなりません。これは、日本だろうがアメリカだろうが同じことです。でも、そういった計算なく『今』に生きて、思いついたことを言ったりしたりするのが子どもらしさです。人の気持ちを推し量ったり会話をしたりというソーシャル・スキルが未熟な子どもには、それなりの愛情をもったケアが必要なのであり、相手の発言に問題があると思えば、正面きって「あなたの言っていることは間違っている(あるいは他の人を傷つける)、自分はこう思う」と指摘するだけの勇気も必要でしょう。それをせずに、「空気が読めない」=「(自分も含め)みんながそう思っている」という言い方をするのはある意味卑怯なことではないでしょうか。子どもを育てる立場にある親や教師がこの言葉を使うことによって、言われた子どもはどう感じるでしょうか。子どもによっては、「もう発言しないぞ」と思うのではないでしょうか。もし子どもが、大人の目から見て「空気が読めないな、この子は」と感じるなら、何がそうさせているのかにも好奇心をもって欲しいと思います。「空気が読めてないよ」と指摘することだけでは解決しないことは明らかでしょう。

*RCB親子コミュニケーションコースがスカイプで受けられるようになりました。初回は日本時間の7月3日(土)朝8時からになります。詳細はこちらをご覧下さい。

日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか

05/07/10

Why Japanese Kids’ Self-Esteem is Low

((Dear English readers of my blog – this is about a book with the same title. This post is in Japanese only)

3月に日本に帰った時に本屋で「日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか」という本を見つけました。児童精神科医31gtif-yxul__ss500_の古荘純一さんという方が書かれた大変内容の濃い本です。英語では「セルフ・エスティーム」と訳されるこの「自尊感情」ですが、本書では、「外見・性格・特技・長所短所・自分の持っている病気やハンディキャップなど全ての要素を包括した意味での『自分』を、自分自身で考える」という意味だと説明されています。例えば10代での摂食障害、薬物依存、犯罪行為、自傷行為や自殺などはこの自尊感情との間に深いつながりがあります。この本では、日本の子どもたちの自尊感情の低さが説得力のあるデータとして示されています。

私が教えているRedirecting Children’s Behavior(RCB)コースでも、このセルフ・エスティームに重点をおいています。セルフ・エスティームが低い子どもの特徴として、すぐにあきらめる、「できない」「わからない」「どうでもいい」と頻繁に言う、人のせいにしたり、言い訳ばかりする、目的が無く悲しそう、「友達がいない」と言うか、あるいは本当にいない・・・などが挙げられます。人間がこの世で生きていく中では、自分の思い通りになることばかりではありません。その時に健全なセルフ・エスティームがあるかどうかで、「逆境から脱することができるか」「自分に対してマイナスの評価があったときに、悩むことはあってもまたそこから抜け出すことができるか」が違ってきます。RCBコースでは健全なセルフ・エスティームを育てる方法について深く学ぶことができます。

大変内容の濃い本なので、何回かに分けてこの本について紹介していきます。興味のある方は是非入手してご一読ください。お子さんがいらっしゃる方には特にお薦めですが、そうでない方も、自分の自尊感情について考えてみる機会になると思います。