07/08/10
Mother’s Struggle
(Dear English readers of my blog – this post is about how parents’ low-esteem affect their parenting style. This post is in Japanese only)
何回かにわたって古荘先生の著書「日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか」について書いています。この本のタイトルは「子ども」となっていますが、実は今子育てをしている世代の大人にも自尊感情が低い人がたくさんいるように思います。
先日、ツイッターのつぶやきで「ジュースをこぼした子どもに腹を立てて『あんたそれでも人間なの。何度言ったらわかるのよ』」という言い方をしていたある母親について、「おっかない」「そんな母親の元に生まれなくてよかった」という感想をつぶやいている人がいました。実際にその場面を見たわけではありませんが、ツイッターに書き込んだ人はその母親の言い方や顔から、子どもに対する愛情が感じられずこわいなーと思ったためそのようなつぶやきをされたのでしょう。でも、私がそのつぶやきを見て思ったことは、「何がその母親をそこまで追い詰めているのか」ということです。小さなお子さんをお持ちの方なら、「何回言ったらわかるの」と思ったことは一度や二度ではないはずです。それが、ジュースをこぼすならともかく、たたく、蹴る、おもちゃを投げる、車が往来する駐車場を勝手に走り回るなど、こちらも痛い思いや怖い思いをしながら、大声をあげても聞かない、もう打つ手がないような無力感で、きつい言葉や言い方をしてしまうことは、人間には誰でもあります。
このつぶやきからは、周囲の助けもなく、孤独感を抱えながら一人で子どもをコントロールしようと必死になっている母親の姿を感じました。多分、日常生活の中で自分が本当に満足したと感じられる場面があまりないのではないでしょうか。そういう状況が長く続いていると、たとえ幼少時代の深い傷などがないとしても、自己肯定感は低くなり、まだまだ未熟で学ぶべきことがたくさんあり、私たちにそのサバイバルのすべてを委ねている子どもに対して、忍耐力を持って優しく接し続けることは不可能に近くなります。自尊感情が低い人は周囲に対しても非常に批判的になりがちです。もし、人間関係で、いつも同じ人がきつい言葉や態度で接してきて傷ついている・・と言う方は、「何がその人をそうさせているのか」と考えてみてください。その裏には自尊感情の低さが必ずあるはずです。
最近「RCB親子コミュニケーションコース」を受講された方が、感想として「これでいいんだと楽になった」そして「今まで以上に子どもがもっと大好きになり、大切に育てたいと思った」と書いてくださいました。子どもの自尊感情を高めるためのひとつの方法は、やはり子どもに「こうなってほしい」という大人の姿を見せること、つまり自分の自尊感情にも意識することです。その方は、子どもが今まで以上に好きで大切と思える自分のことも、より好きになったと確信しています。
*次回「RCB親子コミュニケーションコース」は電話コースが8月4日(水)から、スカイプコースが8月13日(金)からはじまります。スカイプコースは日本時間では土曜日の午後1時からです。
06/17/10
“Everybody thinks so”
(Dear English readers of my blog – this post is about an expression in Japanese language that is directed to people with less social skills. This post is in Japanese only)
古荘先生の著書「日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか」の中に、上記タイトルの箇所があります。全体で2ページにも満たない部分ですが、この本の中で非常に大切な部分だと感じました。
私はアメリカに8年暮らしており、アメリカで子育てもしています。サンディエゴの補習学校で4年間働いており、毎年たくさんのお子さんが日本から駐在など家族の転勤でやってきて、またアメリカで数年生活した後で日本に帰っていきます。日本からアメリカに来ることも大きな変化ですが、アメリカの生活に慣れた子供達が日本に帰ることも、同様に、あるいはそれ以上に大きな変化です。中には、日本人の両親を持ちながらもアメリカで生まれ育っていたり、また国際結婚のご家庭で日本に行くことになるケースもあり、日本は「外国」という人もいます。
おそらく日本に帰って学校に通う際、最も苦労するのはこの「KY(空気が読めない)」という言葉に表れる発想ではないでしょうか。古荘先生はこう書いています。「本音を出したり、あるいは融通が利かないと、『KY』のレッテルを貼られてしまう。無視、仲間はずれといういじめの対象になってしまうこともある。子どもたちの中でも疑心暗鬼になり、常に周囲の機嫌を伺うことを余儀なくされる」また、「『KY』は『空気』という言葉で、自分だけではなく多数の意見だと表現して、より強力かつ巧みに一人を追い込んでいく、実に不気味で悪質な表現である」と。
大人として人付きあいを上手くやっていくためには、自分の思ったことを何でも口にするべきではなく、周囲の気持ちを考えることもできなければなりません。これは、日本だろうがアメリカだろうが同じことです。でも、そういった計算なく『今』に生きて、思いついたことを言ったりしたりするのが子どもらしさです。人の気持ちを推し量ったり会話をしたりというソーシャル・スキルが未熟な子どもには、それなりの愛情をもったケアが必要なのであり、相手の発言に問題があると思えば、正面きって「あなたの言っていることは間違っている(あるいは他の人を傷つける)、自分はこう思う」と指摘するだけの勇気も必要でしょう。それをせずに、「空気が読めない」=「(自分も含め)みんながそう思っている」という言い方をするのはある意味卑怯なことではないでしょうか。子どもを育てる立場にある親や教師がこの言葉を使うことによって、言われた子どもはどう感じるでしょうか。子どもによっては、「もう発言しないぞ」と思うのではないでしょうか。もし子どもが、大人の目から見て「空気が読めないな、この子は」と感じるなら、何がそうさせているのかにも好奇心をもって欲しいと思います。「空気が読めてないよ」と指摘することだけでは解決しないことは明らかでしょう。
*RCB親子コミュニケーションコースがスカイプで受けられるようになりました。初回は日本時間の7月3日(土)朝8時からになります。詳細はこちらをご覧下さい。
06/03/10
Home Sweet Home
(Dear English readers of my blog – this post talks about the importance of warm family environment for kids. This post is Japanese only)
古荘純一先生の著書「日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか」の第4章に、「家庭がほっとする場でないと、子どもの心の行
き場所がなくなる」と言うことが書かれています。考えてみれば、子どもでなくても、家庭がほっとする場でなければ帰るのがつらいのは理解できるでしょう。でも、子どもは大人と違って、家に帰る前に同僚とどこかに寄って一杯やってくるとか、スポーツジムに行って汗をかいてから・・ということができません。家族の仲が悪かったり、忙しい親のストレスでぴりぴりしている状況では、ますます子どもの心の行き場所がありません。
その他にも、
・ 塾や習い事など、自分の能力を超えるスケジュールをこなしている
・ 情報過多で色々なことを知っているが、その言葉の正確な意味や使い方を知らずに混乱している
・ 少子化の影響で、両親や祖父母の期待を一身に背負わされ、「良い子」であろうとするために心が休まらない
などの原因で、虐待を受けていないにもかかわらず、心理学的には非常に類似した傾向を示したり、大人から発せられるメッセージを被害的に受け止めたりする場合がある、ということが書かれています。
私が子どもの時のことを考えると、小学校は本当に楽しい時代でした。高学年になると中学受験のために塾にいくようになりましたが、それでも私の思い出の中でその時代は圧倒的な輝きを保っています。何の悩みもなかった・・とは言いませんが、もう一度やりなおしてもいいくらいです。公立の学校で行われている一斉授業などは今も昔も変わらないと思うのですが、古荘先生は「子どもたちにとって学校は、ストレスの多い場所であり、自尊感情も保てない場所になっている」という印象をお持ちです。確かに私が小学生だった頃は、子どもに対して「ストレス」という言葉を使うこともなかったのかもしれません。ただ、本当に上記のような環境で育つ子どもが高いストレスを感じながら学校に行っているのであれば、家庭で子どもが安らげるかどうかは大変重要です。RCB親子コミュニケーションコースでは、子どもの行動や感情を親がコントロールしようとするのではなく、如何に自分自身でコントロールしていくか、親がどうしたらそれを教えてあげられるか、という方法を学ぶことができます。
*電話コースにより、サンディエゴ以外にお住まいの方も受講されています。また、7月からスカイプで日本在住の方も受講できるようになります。
05/21/10
Quality of Life
(Dear English readers of my blog – this post talks about Quality of Life for kids in Japan. This post is in Japanese only)
前回ご紹介した本「日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか」という古荘純一先生の本の中に、「クオリティ・オブ・ライフ」(英語のQuality Of Lifeの頭文字をとってQOL)という概念についての調査について書かれています。QOLとは自尊感情だけでなく、その人の生活に関わる要素を包括する概念です。引用すると、「たとえば、ごはんがたくさん食べられるだとか、夫婦関係がいいだとか、職場で楽しく過せるだとか、仕事が充実している、などという、これらのこと全部を含んだ概念となります。その人の生活に関わる、すべての要素を包括する、ということです。」と述べられています。
本の中では子どものQOLを図る尺度の開発やその難しさとともに、日本で子どもを対象に行われたQOLの調査結果も出ています。学年が上がるにつれてQOL総得点が減っていき、16歳までの調査対象の中では高校一年生が一番低いという結果が出ています。このまま高校2年生、高校3年生とQOL総得点が下がり続けるのかどうかは今後の調査を待たなければならないようですが、古荘先生は「幼児的な万能感を持っていた子どもたちも、世の中の現実がわかってくるにつれて、自尊感情は低下していくのが普通だとも言えます。そして一回低下しきると、下げ止まって、また、こんな自分でもいいや、という感じであがっていくのが普通のパターンだと考えられていたのですが、いまの日本の子どもの現状では、小学校3,4年生ぐらいから低下しはじめて、中学校、高校、とずっと下がりっぱなしということになっていることが、今回の調査で明らかになりました」と言われています。回復の機会がないまま大人になってしまうと、欠点はありながらも自分自身をありのままに受け入れ、日々の生活を楽しく過ごすことが難しいだろうということは容易に想像できます。
RCB親子コミュニケーションコースでは、自尊感情(Self Esteem)を育てる親子のコミュニケーションについてご説明します。次回RCBコースの説明会は5月27日(木)6時半からUTCモール内のスクリプス病院セミナー室(Scripps Mende Well-Being 4305 La Jolla Village Drive San Diego, CA 92122)で行われます。お申し込みはメールにてお願いします。
05/07/10
Why Japanese Kids’ Self-Esteem is Low
((Dear English readers of my blog – this is about a book with the same title. This post is in Japanese only)
3月に日本に帰った時に本屋で「日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか」という本を見つけました。児童精神科医
の古荘純一さんという方が書かれた大変内容の濃い本です。英語では「セルフ・エスティーム」と訳されるこの「自尊感情」ですが、本書では、「外見・性格・特技・長所短所・自分の持っている病気やハンディキャップなど全ての要素を包括した意味での『自分』を、自分自身で考える」という意味だと説明されています。例えば10代での摂食障害、薬物依存、犯罪行為、自傷行為や自殺などはこの自尊感情との間に深いつながりがあります。この本では、日本の子どもたちの自尊感情の低さが説得力のあるデータとして示されています。
私が教えているRedirecting Children’s Behavior(RCB)コースでも、このセルフ・エスティームに重点をおいています。セルフ・エスティームが低い子どもの特徴として、すぐにあきらめる、「できない」「わからない」「どうでもいい」と頻繁に言う、人のせいにしたり、言い訳ばかりする、目的が無く悲しそう、「友達がいない」と言うか、あるいは本当にいない・・・などが挙げられます。人間がこの世で生きていく中では、自分の思い通りになることばかりではありません。その時に健全なセルフ・エスティームがあるかどうかで、「逆境から脱することができるか」「自分に対してマイナスの評価があったときに、悩むことはあってもまたそこから抜け出すことができるか」が違ってきます。RCBコースでは健全なセルフ・エスティームを育てる方法について深く学ぶことができます。
大変内容の濃い本なので、何回かに分けてこの本について紹介していきます。興味のある方は是非入手してご一読ください。お子さんがいらっしゃる方には特にお薦めですが、そうでない方も、自分の自尊感情について考えてみる機会になると思います。